海外fxは、国内fxと税金の区分が違っています。国内fxと同じように考えていると、困った状況にもなりかねませんので、税金の仕組みについてはあらかじめよく理解しておきましょう。
海外fxの取引で得た利益は、総合課税の雑所得です。海外fx以外で雑所得に分類される所得には、海外バイナリーオプションや仮想通貨取引の利益、ライターの原稿料、その他の副業で得た収入などがあります。総合課税の雑所得の最大の特徴は、収入が増えるほど税金の額も増えるという累進課税方式となっているところです。
国税庁のホームページには、収入に応じた所得税の割合が掲示されています。それによると、雑所得の場合、年間の収入が195万円以下の場合の所得税は5%ですが、それを超えると330万円以下までが10%、330万円超から695万円以下の場合が20%というふうに、累進課税で税率が上がっていく仕組みになっていることがわかります。
たとえば、海外fxの取引で年間100万円の利益を得て、それ以外に給与所得が300万円あり、その他の雑所得が100万円あったとします。この場合、合計の500万円が課税対象です。所得が500万円の場合、所得税の税率は20%ですが、それに住民税の10%が加わるうえ、復興特別所得税として2.1%がプラスされるため、所得の500万円に対し、税率の合計は32.1%となるのです。
雑所得にかかる税率は695万円超以降もさらに上がります。900万円以下までが23%、900万円超から1800万円までが33%、最高は1800万円超の40%です。これらにもそれぞれ一律10%の住民税と復興特別所得税の2.1%が加わりますから、海外fxで1800万円以上の利益を得た場合、その半分以上が税金として持っていかれることになります。
海外fxで得た利益は上記のように総合課税の雑所得ですが、国内fxで得た利益は、同じ雑所得ながら申告分離課税になります。他の所得とは別のカテゴリーで課税されるという仕組みなので、海外fxのように収入が上がるほど税税率が上がるのではなく、利益がいくらでも所得税、住民税、復興特別所得税を合わせて一律20.315%の税率です。
国内fxでの利益の場合、損失の繰り越しが可能です。過去3年間の損失分を確定申告していると、利益が出た場合に後からその損失額と相殺ができるという制度になっています。たとえば、前の年に国内fxで50万円の損失があって、今年100万円の利益があった場合、100万円から50万円を引いた50万円が課税対象となるのです。
一方、海外fxでは、前年の損失がいくらであっても次の年に持ち越すことはできません。その年の利益は全額課税対象となります。これも国内fxとの大きな違いです。
海外fxでの利益は雑所得ですので、他に雑所得に分類される損益がある場合はそれと通算が可能です。ある海外fx業者で利益が出て別の業者で損失がある場合は、それを通算することができますし、海外fx以外でも、たとえば仮想通貨取引によって損失があった場合は、それを海外fxの利益と通算することができます。
ただし、海外fxと国内fxで損益を通算してはいけません。海外fxで50万円の利益があり、国内fxで50万円の損失があった場合、当人の感覚としては利益も損失もないプラスマイナスゼロの状態でしょう。しかし、日本の税制ではこれら二つは明確に区別されるため、海外fxの利益50万円にはしっかり税金がかかるのです。
海外fxと国内fx両方行っている場合、トータルでマイナスとなっている場合でも税金が発生することがあります。これが海外fxと国内fxの併用のデメリットです。国内fxをやっており、これから海外fxもやってみようかなと思っている人は注意してください。